阪急宝塚駅からすぐの宝塚ソリオホールは今年で30周年を迎えます!

そのソリオホールで、9月23日(土・祝)に能楽の公演「たからづか能」が開催されます。

「宝塚で能?」
「能って…そもそもよく知らない」
「一度見てみたいけど、楽しめるかな?」
と思っている方に向けて、今回は、出演者である能楽師の梅若猶義さんと善竹隆司さんにインタビュー!
能の魅力と、今回の演目のみどころを語っていただきました。
 これを読んだら、きっとあなたも「たからづか能」を観に行きたくなるはず!
たからづか能
今回の「たからづか能」では能『安達原(あだちがはら)』と狂言『鐘の音(かねのね)』を上演。

そして、こちらが今回インタビューに答えてくださったお二人です。
梅若さん善竹さん_1836
向かって右から梅若猶義さん、善竹隆司さん。
梅若さんは、今回上演する能「安達原」のシテ(主役)を演じられます。観世流シテ方の能楽師で、宝塚在住。
善竹さんは、「安達原」で能力役を、さらに狂言「鐘の音」で主人役を演じられます。大蔵流狂言方の能楽師で、県立宝塚北高校演劇科で長年講師もされています。
おふたりとも、宝塚にとてもゆかりのある方ですね。

コミパ
たからづか能は今回で20回目とのことですが、そもそも宝塚で能が行われるようになったのはどのような経緯でしょうか? 

梅若猶義さん ※以下、梅若
もともと、平成8年まで中山寺の星の広場で、毎年秋に薪能が行われていたんです。
秋の風物詩としてとても好評でした。
当時、雨天の時は御殿山の市民会館で公演ができたのですが、阪神淡路大震災の影響もあって市民会館がなくなり、代替施設もむずかしいということで、薪能としては実施されなくなりました。そのあと、平成14年度からソリオホールで「たからづか能」として開催され、今回で20回目となります。
 
善竹 隆司さん ※以下、善竹
ソリオホールの舞台には、ステージに特設能舞台を組んであるので、能楽堂の雰囲気を感じてもらえると思います。
 
コミパ
そんな昔から開催されていたんですね。
ところで、能・狂言にはどんな歴史があるのでしょうか。

梅若
能・狂言は、室町時代にはだいたい今の形になったといわれる伝統芸能です。古くは猿楽と呼ばれ、そのルーツは中国と言われています。能は、主役をつとめるシテ方のほか、ワキ方、楽器を担当する囃子方などがそれぞれの役割を専門に担当します。梅若家の本家は、猿楽の時代から数えると56世になります。

コミパ
そんな長い歴史があるんですね。ところで能と狂言の違いは何ですか。
 
梅若
能は基本的に主役は面(おもて)、能面をつけます。そしてセリフではなく歌(謡/うたい)で舞台が進んでいくことから、ミュージカルに似ているともいわれています。それから、能の主役は神や鬼、幽霊であったりと、現実の人間でないことが多いですね。今回の演目「安達原」(あだちがはら)は鬼退治のお話で、鬼が主役です。

善竹
狂言は、セリフ劇で、庶民の日常生活を題材にして、笑いを中心に描いています。登場人物も現実の人間であることが多いです。

コミパ
そんな違いがあるのですね。では今回の上演演目はどんな内容か教えていただけますか。

梅若
能「安達原」は、旅の山伏が夜、老女の家に泊めてほしいと頼んで最初は断られる。なんとか泊めてはくれたものの、老女の様子がおかしい。老女が出かけた後、見てはいけないと言われた部屋をのぞくと、そこには大変な光景が・・・。ここからは舞台をご覧になっていただければと思います。「安達原」の後半は、鬼と山状が戦うシーンがあり、大きい動きがあるので、あまり能をみたことがない方でもわかりやすいですよ。

善竹

今回上演する狂言「鐘の音」は、主人が息子の成人するお祝いに刀を持たせたいが、その刀に金の細工をつけたい。それで鎌倉に行って、金(かね)の相場を調べるように、召使いである太郎冠者(たろうかじゃ)に命じる。太郎冠者は金の値ではなく、鐘の音を調べてきなさいと言われたと勘違い、鎌倉の有名なお寺を4か所回り、最後の建長寺という大きな寺の鐘の音を聞いて、これこそ今回のお祝いにふさわしいと思って、主人に報告する。
「金の値」のはずが「鐘の音」をあれこれ話すので、主人は当然激怒します。しかし太郎冠者の謡と舞を見て主人も機嫌をなおし、めでたいめでたい!と喜びの中で終わる狂言です。
今年はソリオホールが開館30周年というお祝いの年ですので、それにふさわしい演目として選びました。


 裏面上
コミパ
恐ろしい鬼が出てくる怖い作品と、聞き間違いが発端の楽しいお話と、どちらも観られるんですね。
それでは、私のような初心者に、能楽を観るときのアドバイスをお願いします。

梅若
能に親しみのない方は、敷居が高く感じるかもしれませんが、鼓の音がよかったな、装束がきれい、でもいいんです。お客様が緊張してしまわず、まずは自由に感じてほしいですね。
非日常を感じていただければなと思います。
IMG_184梅若さん
 
善竹
この「たからづか能」は、上演前に我々2人による解説もあります。演者が上演前に解説する機会はなかなかないと思うので、気軽に楽しんでください。
また、当日は「安達原」のセリフが載ったパンフレットも配られます。それを読んでから能を観るとより理解しやすいと思います。
「たからづか能」は客席と舞台が近く、豪華絢爛な能装束も、能面の表情も近くで見られます。
初めての方向けの仕掛けはいっぱいです。

 善竹さん

コミパ
ありがとうございました。演者さんの空気感がすごく伝わる公演なんですね。梅若さん、善竹さんによる解説もありますし、まずは宝塚で一度能をみてみようという方は、高校生以下のチケット設定や、お安めのビギナーシート(後方指定席)もあるので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
 裏面下

たからづか能

能「安達原」 狂言「鐘の音」

[日程]     2023923(

[開演]    1400 1330開場) ~

[会場]   宝塚ソリオホール

[入場料]  
  指定席 一般前売3,500円(当日4,000円)、高校生以下2,000円(当日同額)
  ビギナーシート(場内後方指定席)2,000円(当日同額)

※全席指定
※未就学児は入場不可。※前売完売の場合は、当日券は販売しません。
※小学生の方は保護者と一緒にて鑑賞されることをお勧めします。
[主催]     (公財)宝塚市文化財団  TEL0797-85-8844

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